事業仕分けのない我が家。

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 蓮肪があちこちで憎まれている。舌鋒するどく「なぜ一番を目指しているんですか。二番じゃ駄目なんですか。」事業仕分けのあの会議の席での彼女の身振り表情が、この国のなあなあ文化に馴染まないのかもしれない。が人生どこにいっても仕分けは大切で、整理、見直し、再検討、とくに今日のような不景気とあれば企画の仕分けは数知れず、執行済みの予算すら改めて検討という憂き目に会っている。
 ところでわが家の仕分けとなると一大事だ。ガラクタと判定しても相方は絶対に認めない。とくに洋服などは、5年着なければもう永遠に着ることもないだろうといっても認めようとしない。「これは思い出のスカートだから」ともとの引き出しに仕舞われる。思い出は想像力や、記憶のなかにあって物のなかにはない筈だが、とかく女性はモノにこだわる。古写真を絶えず携帯し、ハンドバックが小さいとぼやく。お茶を教えているのだから、たとえ3畳でも余計なものが何もなく、一輪の椿が無限の自然を表し、一椀の表情にあらゆる思想が響くという簡素の仕分けが身についていると思うのは、悲しい思い過ごしなのだろうか。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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