名門主婦の友社がとうとう大日本印刷の軍門に下った。大正期からこの国のまともな主婦達の愛読月刊誌だった「主婦の友」とともに滅びた。お茶の水の山頂に石川文化財団をきずき、一時はカザルス・ホールなどクラシック専用の劇場までもっていたが、大正6年以来の付録の家計簿とともに時代から棄てられた。 もはや「主婦」という言葉は死語となってしまったのだろう。主婦よりは主夫がふえ、主夫は不況のあおりで派遣のプータロー、主婦はたくましくスーパーのレジをたたいて家計の大黒柱になっている。
かって向田邦子が働いた雄鶏社も倒産した。そのレパートリーだった手芸、編み物、料理に熱中した主婦がいなくなったのだ。手芸はマニアックな一部の女性、編み物はクラシック・バレーの男性舞踊手、料理は
コンビニやスーパーにもっていかれて、本を買う人が消滅した。しかし高校の教科書で信頼あつかった一ツ橋出版まで破産ときいては、いったいどうなってしまったんだと嘆かざるをえない。懐かしの丸善もジュンク堂もみな大日本印刷がひきとった。
主婦は死んだ
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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