中国人入店禁止の中華料理店西太后

　ことの起りはこうだ。
　中国で今、肺炎マイコプラズマが流行っている。ついこの間の「コロナ騒動」だけは絶対嫌だ。それにうちの女房は身体が弱いし、謎の細菌症のもとにでもなったら大変とばかりに、とりあえず「中国人お断り」の張り紙を掲出した。東中野駅一分という絶好の場所にある中華料理西太后、創業３０年という老舗の町中華である。

　SNS上でこれを知った中国人インフルエンサーが、激怒して店に押し寄せ迷惑行為に及んだ。中国でまま起こる大衆不買運動に似た、不穏な民衆行動である。警察沙汰となり、地元警察も一瞬身構えた。
　数年前、パリでは中国人経営の中華料理店の衛生管理が悪いというので、一斉に営業禁止になったことがあったが、その折にも差別だと騒ぎたてる一部中国人があった。
　現地に住み着いた中国人によるチャイナタウンは世界中にあるが、衛生面安全面からみれば横浜中華街あたりが世界でいちばんかもしれない。日本人社会に溶け込んでいるので、温厚だし決して騒ぎをおこす事はしない。
　この中国料理店の窮状をしった日本人が立ち上がった。俺たちの愛してきた町中華を守れ、とばかり、西太后に列をなした。中国人の入店の余地はない。さすがにこの日本人たちの行動をみて、中国人も旗を巻いた。考えてみれば、自分たちの祖国の問題なので、ここで騒いでも収穫はないと判断したのだろう。或は武漢由来のあのコロナの暗黒を思いだしたのかもしれない。