世論調査禁止の意義

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 世論調査をすべて正しいとして物言いをする人がいる。
 世論調査は特定の項目について、一定の認識と理解をもった人々を選んで、その人々を対象に調査しているわけではない。無作為にえらんだサンプル1000人とか、無作為にえらんだ電話番号から2000人とか、いわばミソクソ一緒にして、ガラガラポンの無責任な数値にしか過ぎない。
 だからフランス元老院には、四半世紀前から「世論調査禁止事項」というのがある。とくに選挙期間中の世論調査は、出版ならびに放送について禁止されている。世論調査の弊害について明確な認識がある。
 この国について考えてみると、もつとも世論調査によって汚染されているのは「女性宮家」問題ではないだろうか。「女性宮家」賛成が64%に上り、反対の31%を大きく上回ったと、日本世論調査会が発表した。賛成者の64%は、皇統の歴史と伝統を破壊したい非愛国者だということが判っているだろうか。 女性宮家容認ということは、歴史への認識と超越的な感覚を欠いた無知のご都合主義だ。
 西欧の王室とわかつ日本の特質は、万世一系の男系男子によってのみ維持されてきた。こうした国家民族の問題を世論調査という衆愚本位の数字主義にゆだねては、百害あって一理なし、まさに民主主義による汚染なのだ。女権尊重論と女性宮家問題は全く別の次元のはなしだ。
 政治的存在ではなく、日本文化の特質を象徴的に体現した「文化概念としての天皇の存在」を真剣に考えなければならない。皇統に属する男系男子の継承を棄てたとき、この国はだらしない平和主義とエセ民主主義に染め上げられた拝金主義の地震国に堕ちることになる。


コメント

1件のフィードバック

  1. 世論調査の方法次第で、業平橋駅が“とうきょうスカイツリー駅”に変わる事に反対している票を高く出来ると思います。
    地名を継承する意識を守る為に、夏休みの自由研究の課題になればと思います。

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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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