紅茶缶のグランプリ…フランス・リヨンにあるCHA YUANの12色に輝く丸いカン、これがわが家のグランプリ、とにかく素晴らしい。
直径9センチ高さ11センチ程の丸いカンなのだが、単色の色違いで12種の紅茶缶がある。どのカンにもイラストはなく、漢字の茶という文字、その下に小さくCHA YUAN とある。地色と文字の色の組み合わせも絶妙で、色彩もデザインもこのカンを超えるカンを見たことがない。
漢字の「茶」はすべての紅茶・支那茶・日本茶をして、ルーツは中国の茶にありということが明晰に表されて気持ちがいい。カンの色のトーンも、デリカシーにとんだデザイン学校の教材にもなる、エレガントにしてパンチのある彩が並ぶ。
YUANのオーナーである女性は、世界紅茶協会の会長だそうだが、あの派手一方のフォションや、エディアール、マリィアージュに対して、一線を設け商業主義を排した紅茶の王道をめざしている。
パリでもYUANの紅茶を出しているところは少なく、たまたま宿にしたスクリーブのサロン・ド・テが扱っていたので、豊潤なYUANのノアールの味に遭遇した。
初めて紅茶のカンを意識したのは、黄色に赤文字の四角い大きなLIPTONだった。喫茶店の棚のすみにあって、小さな日東紅茶を隠すように置かれていた。紅茶カンにいろいろの色があることを教えてくれたのは、トワイニングだった。ダージリンの薄紫からプリンス オブ ウェルズの黒まで、女王殿下ご愛用のフォトナム・メゾンのグリーン、ハロッズの赤、ブラマー紅茶ミュージアムの赤紫、近頃はフォションのゴールドやらフォトナム・メゾンのシルバー、あるいはローヤル・コペンハーゲンの白とすべてがありなのだが、どれもこれもYUANのそれを超えることは出来ない。
アトリエにはYUANの三つの色、自宅にはYUANの五つの色のカンを並べて日々楽しんでいる。
世界一の紅茶YUANのカン
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プロフィール

星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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