何年ぶりにクレージーホースに足を運んだ。目鼻がない黒い顔に赤い唇とスクェア・カットの白いボブが今シーズンのイメージ・イラストで、Desirsとだけ書かれたポスターに心ひかれた。ショー・キャバレーとしてそんなに広くない中規模のホールであることが、とてもいい。ステージの踊り子たちの息ずかいまで見える。誇らしげにヌードを見せる17人の踊り子は14人のフランス娘、ロシア娘が2人、そして1人のスペイン娘、カラダは完璧にメンテナンスされ、ゆるんだり傷ついたりの部分は全く見当たらない。言い訳をしなければならないカラダの持ち主は出演の用なしといったところだろう。ウィットに富んだ踊りは、ときに激しくときに挑発的に繰り広げられるが、猥雑なところはまったくない。照明とポップな映像が素晴しく、女のカラダと一体化し、女性美を知り尽くしたスタッフが舞台作りをしている。ヘアメーク、スキンケア、衣裳、靴、アクセサリー、プロポーション、しもの毛の手入れまで完璧な17人のショウ・ガールはまさにプロフェッショナルそのもの。クレージーホースのショウはパリ随一、吉兆風にいえば「世界の名物」である。
プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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