不愉快なVサイン

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 テレビカメラに写りこんだ子供たちがはしゃいでVサインをする。馬鹿まるだしである。
 観光地では、あっちの団体、こっちの伯母さんみな集まってVサイン、写メの最中。
 呆れたのは挙式後の記念写真。ピカピカの貸タキシードとウェデイングガウンをはさんで両家の父母がモーニング、留袖でVサインをしていた。デキチャツタ婚の新郎新婦ならまだしも、両親がこのザマでは、日本の民度は地に落ちたと思わざるをえない。
 Vサインのうんちくはともかく、百年戦争でイギリス軍がフランス軍を挑発するために使ったり、チャーチルが日本を原爆でやっつけるサインにしたり、ラッパーやストリート・ギャングが相手を挑発するために使っている位のことは知っておいたほうがいいだろう。
 ギリシャでVサインを出せば、相手を侮辱したことになるし、イギリスで裏ピースをすれば、確実に殴られる。日本の常識、世界の非常識そのものなのだ。
 スポーツ選手のガッツポーズも同類項だ。楽天の田中将大は沢村賞受賞に際し、派手なガッツポーズや雄叫びを慎むよう勧告された。品格を求められたのだ。紳士のスポーツといわれているゴルフにしろ、カーリングにしろ皆同じだ。勝ち誇ることなく、負けた相手への心ずかいがあつて初めて紳士のスポーツになり得る。
 教師の事なかれ主義とモンスター・ピアレンツのわが子盲愛が昂じて、そうした社会人教育がなされていないことに原因はあるのだろうが、漫画の「サインはV」でやっていたから、みんな揃ってVサインというのは、あまりに情けない。日本人はどうなってしまったのだろう。
 
 


コメント

1件のフィードバック

  1. モンスターペアレンツ、ただならぬ増殖を続けています!
    元を正せば、公立の学校でモンスターを最初に成立させてしまった、行政の能力の低さに起因するのでしょうが、内申書という武器がありながら、なぜモンスターが成立したのか?今もって疑問です。
     しかし、モンスターの子息が社会に出て、あまやかされのつけを精算する時期がきたようです。親の力がおよばない就職活動他の社会の洗礼。
    そして、少子高齢化の時代、モンスターの家に子供を嫁がせる親がどこにいるのか? 結局モンスターは後でしっぺ返しが来る事がそろそろ世間に浸透を始めている気配がしています。

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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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