不倫ワクチンの作り方

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不倫ワクチンの作り方
 アムネスティの売春合法化についで、光文社から「はじめての不倫学」が出た。
 著者は現代の性問題に取り組んでいる坂爪真吾さんだ。政治家のまえでいくら倫理を唱えようと、週刊誌の見出しから不倫がなくなることはなかった。
 不倫ウィルスに対抗して不倫ワクチンを開発しなければならない、というのが著者の思いだ。
 英国王室は代々の王様から王子に至るまで不倫の歴史を刻んできた。フランス大統領もご存じの如く夜な夜なバイクで彼女のもとに通っている。イタリアの元首相はまことに絶倫な性の達人だった。ボリショイ・バレエの乱脈ぶりから、飾り窓の女たちまで、人間の生きるところそのほとんどに性の乱倫がある。
 日本でもお茶、お花から能狂言、歌舞伎に至る伝統的な世襲制度にもとずく家には、必ずと言っていい程に、性の問題が存在した。家を継がなければならない、という課題のまえに不倫は正当化されてきた。歌舞伎役者の婚外子などみなこの範疇にはいる。
 庶民のあいだでも「盆踊り」「神っ子」「足入れ」「雑魚寝」などといったかたちでの乱交があった。
一定のルールや枠組みのなかで、制度化された婚外セックスがあったために、日常をリセットでき、結婚制度を破綻させないで済んできた。 
 お局制度を廃し、キリスト教的論理を安易に導入したため、ニッチもサッチもいかなくなったのは、戦後日本の皇室だともいえる。
 対象と場を限定し、個人間の関係ではなく社会的なシステムのもとでの婚外セックスを容認する事によって、不倫防止、性犯罪防止につながるのではないか、と著者は論じている。
 アムネスティの売春合法化と著者の論理は共通している。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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