久しぶりに神戸を歩いた。三宮から元町にむかって本通りのアーケードを歩いた。ライトに照らされて華やかな女性用ファンデーションと下着の店が次々と登場する。多く感じるのは男の視線かとすこし引いてみたのだがやっぱり多い。30メートル置きぐらいにそうした店がある。ファッション・タウン神戸と標榜するのに相応しい店はもう少し南のほうにあって、「うちは舶来よ」といった気分でディスプレイされている。てんこ盛りの下着やと下着やのあいだには申し合わせたように女性用の靴やがある。靴は神戸の地場産業でもあるので納得なのだが、15㎝程もあるヴォーグの挿絵にしたくなるようなハイヒールが店頭に飾られている。靴と下着といえば、まさにパリの娼婦の小道具なのだが、神戸の女もここまできたか、との想いを深くした。女を棄てずに、灰になるまで女を使う見上げた根性がそこにあった。泣いたり、甘えたり、飾ったり、脱いだり、着込んだり、自由自在に女を使う女たちに改めて敬意を表した。男たちは男を棄てることも出来ず、男も使えず、下着もはいていないかのごとき、神戸ウォーキングの収穫であった。
プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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