いまごろサンマルコの広場は、仮面(マスケラ)の世界に変わっていることだろう。
かってヴェネツィア共和国隆盛の頃、謝肉祭のまえ春の到来を祝って、乱痴気騒ぎを繰り広げていた名残りの祭りが、マスケラのカーニバルときいた。
そのころのヴェネツィアは貴族に支配された商人の島だった。狭い島の階級制度は島の人々に窮屈を強いていたので、春をまえに爆発したのだ。
みんなで仮面をつければ、商人も貴族も区別はつかない。
富豪の息子は伯爵の娘に近かずき、伯爵はお出入りの服やの娘と、伯爵夫人は二枚目の下士官と、みなそれぞれに仮面をかぶって逸楽にふけったといわれる。まさにオペレツタの世界だった。
いまでもその伝統は残り、マスケラの下の恋ものがたりは、カーニバルの後の噂を賑わしている。 カーニバルの噂が消えた頃、ヴェネツィアの役所は離婚届けの処理に追われるという。
キエフとヴェネツィアはそんなに離れていないが、国民の世界観がこれほどの断層を生むとは、誰も想像していなかったろう。
ヴェネツィアの追想
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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