異常にレースが流行っている。
パンツの裾からレースがのぞいている。キャミソールはレースの縁飾り全開、Tシャツの襟にもレースがある。レースを重ねたフランス人形のスカートそのままに七分丈をはいている。超ミニのペチパンは、レース・メーカーの広告パンツのようだ。
多くの女性がレースを愛するのは、てんこもりの飾り感と、ちょっぴりエロい透け感ではないだろうか。
飾り感はユニクロやらジーユーなどで、実用一点張りとなったファスト・ファツションへのストレスかもしれない。もう一方では、セクシー・ブームの延長線上に透けてなんぼの価値観がある。その両方を充たしてくれるのが、レースなのだろう。糸の宝石と呼ばれるだけあって、女性の所有欲にぴたりとはまる個性を備えているのが、レースらしい。
昔いかにも母親が選びましたとばかりの、薄いピンクの総レースのドレスを着てくる少女がいたが、クラス中の悪がきどもは触れてはいけないものと引いていたし、その少女も思考停止状態の夢見る少女になつていた。少女はやがて成人し、黒いレースのショーツを愛する魔女に変身した。
ルイ15世の愛人ポンパドールや、かのベルサイユ宮殿で栄華を尽くしたマリーアントワネットなど、国の運命まで変えてしまったレース・マニアはお見事としかいいようがないが、ミニパンとキャミソールの薄汚れたレース狂では、田舎の街角が汚くなるだけだ。
レースの好きな女たち
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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