ダヴィンチの「モナリザ」があるから……。
ミロの「ヴィーナス」があるから……。ルーブルは世界一の美術館といわれてきた。
が、それでいいのか、ルーブルの苦悩はそこから始まっている。当初ものすごい反対の声に包まれたガラスのピラミットも、いまではあって当り前、もしあのルーブル宮にピラミットがなかったら、ルーブル宮と現代をつなぐ絆は切れて、遺跡の王宮になっていただろう。
その意味からも、ルーブルの地下に造られたカルーゼル・ド・ルーブルは、地下都市の少ないパリに在って、ある役割を果たしていることは明確だ。
そこにはフランス人の考える暮らしとアートのかたちがある。
いくつかのファッション衣料、雑貨に、ロクシタンのコスメ、フラゴナールの香水、ランセルのバッグに、スワロフスキー、アガタのアクセサリー、バージン・メガストアー、MOMAアート・ショップ等、中央のナポレオン広場に面して、コメディ・フランセーズのショップ、、メゾン・デュ・ショコラ、マリアージュ・フレールのサロン・ド・テ、PCのアップル・ストアー、郵便局、トイレ、両替所、レンタカー、メトロ、バス、美術館のチケット販売所、など、アーケードの仕上げはデパートのオウ・プランタン、エコ・ガーデンのためのトラッド・ブティックなどもあり、休みだらけのパリに在って、年中無休でショツピングを支えている。フードコートもフレンチからアジアンまで一流のレストランが、揃えられている。
そしてそのいちばん奥に作られているのが、アート・イベント、ファッション・イベントのためのグランド・ホール、5000平方メートルはあろうかと思われる大ホールだ。
今回のアート・ショッピング2015もここで開かれた。世界中から400人の作家が集まり、作品を競っても楽勝の空間なのだ。照明施設も完璧に仕込まれている創造的な空間がそこにある。
恐らくルーブルの地下深く6階分ぐらいを掘らないと、このカルーゼル・ド・ルーブルはできなかっただろう。ルーブルの下にもうひとつのルーブルがあった。
ルーブル本体のミュージアム・ショップを地上に中庭に移して、さらにルーブルの改造は進められている。 ルーブルはいま美術教育と美術流通にエネルギーを傾けている。 お高く止まってなにもしない日本の美術館とは、月とスッポンなのだ。
ルーブルの下にもうひとつのルーブルがあった
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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