ランウェイをすて、新しい空間へ

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ランウェイをすて、新しい空間へ
 芦田淳2015秋冬展が開かれた。
 今回はいつもとは違う趣向でご覧いただきます、とあったので前回の新国立美術館展をさらに前進させたものかと期待して六本木のグランド・ハイヤットに向かった。
 いつもの2000人ちかく入る大ボールルームには、客席はなく70パーセントはディスプレイステージになっている。抽象的な列柱がならび、立体がおかれている。白一色の空間のなかに、40人のモデルたちが、ディスプレイされストップモーションになっている。
 オープン形式の大彫刻展にいったと思えばいい。モデルたちは新作のファッションに身を包み、ときに静かに動く。招かれた客はコレクションのすべてが見える作品群のなかから、自分の興味にあった作品をチョイスし、じっくりとみればいい。
 ランウェイを勝手に動いて退場していくモデルを追うのではなく、興味を持った作品をのみ時間をかけて見ることができる。
 ステージをぐるりと囲んだ観衆は、たゆとうごとくゆっくりと作品を見て歩く。気になれば戻って見直すこともできる。
 美術展では当たり前のごとくに存在した空間が、ファッションの世界では、ひどく新鮮にみえた。
 新国立美術館での回顧展のおり、窮屈な空間で映像展示やデッスプレイすべてが息苦しかったが、ここにはのびのびとした芦田淳の世界があった。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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