「ツタンカーメン」「受胎告知」「フェルメール」この三つの主題に共通するものは? と聞かれ、即答できる人は少ないだろう。
さらに答えは「ラピスラズリ」と聞かされても、頭のなかにハテナマークが飛んでいる。
ラピスラズリは、人類に認知された宝石として最古のものと言われ、時に黄金以上とも言われてきた。
それ故にツタンカーメンの柩はラピスラズリと黄金で彩色されている。
宗教画の出発点である多くの「受胎告知」にもかならず、処女マリアのきるガウンは、深いブルーの輝きをもつラピスラズリの絵具で彩られてきた。アフガニスタンで獲れる天然のウルトラマリンを精製して造られる「ラピスラズリ」、貴重で高価なことは言うまでもなく、尊厳と崇高のシンボルと伝えられ、聖女マリアのみのガウンに彩色されてきた。一般的な画家にとっては手のとどかない絵具であったと言われる。
子沢山で貧乏だったフェルメールも、このラピスラズリのブルーに魅せられ、この絵具が買えるようになるまで我慢に我慢を重ね、やっとこのブルーが手に入った時に、北のモナリザと言われる「青いターバンの少女(現在は「真珠の耳飾りの少女」と呼ばれている)」名画が誕生した。
当時ウルトラマリーンと呼ばれたラピスひと塗りは、現在の価格に変換すると5万から6万の値段と言われていたので、フェルメールの寡作の原因はその辺にもあったのではと、伝えられる。
宝石は芸術を左右し、女性を狂わせる魔力を秘めている。
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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