メード・イン・ジャパンの崩壊

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メード・イン・ジャパンの崩壊
 データ改ざん、最近の嘘だらけは余りにもひどい。いつからこんな国になってしまったのか、情けない限りだ。かってこの国は、正直で礼儀正しい国と世界中から認識されていた。戦争に負け、アメリカこそ自由と平等の理想の国と思い込んだあたりから、嘘も方便の植民地になりさがったのかもしれない。
 タカタのエアバックデータ偽装は、一気に日本の部品メーカーの信用を落とした。世界中のエアバック供給国から訴訟され、市場はヨーロッパに奪われてしまった。
 三菱自動車の燃費データ偽装がばれ、三菱グループすべてから厄介者扱いをうけ、つまるところ日産に吸収されたのは、ついこの間のこと。
 その日産がまた嘘でかためていた。自動車の最終検査員をここ何年にもわたって検査資格のない一般工員にやらせていたというのだ。舶来のゴーン社長のもと、コストカットこそ最上の自動車製造とばかり、メーカー本来の厳しい製品管理がよこにおかれていたのだろう。
 「ヤッチャエ!ニッサン」 と上から目線のCMが流れ始めたあたりから、ユーザーと向かい合うメーカーのポジションを忘れ、宣伝テクニックに傾斜した危うさが見えはじめていた。
 そして名門神戸製鋼の製品データ偽装、データ改竄が表面化した。影響は限りなく大きい。自動車産業のすべて、新幹線のすべて、航空機産業のすべて、電気産業のすべて、ほとんどあらゆるジャンルに鉄やアルミは供給されていする。日本ばかりではない。世界中に取引先をもつ日本を代表するメーカーなのだ。納期や規格要求の厳しさにたえきれず、データ改竄にはしったと言い訳しているが、メーカーとしてのプライドもモラルも失って、金儲け一辺倒の会社に成り下がっていたのだ。
 日本一の電気メーカー東芝も何年かにわたる決算不正で解体の危機にある。シャープはもはや台湾企業になってしまった。経団連はいまこそ「企業モラルのルネッサンス」に声を揚げるべきだろう。
 「メード・イン・ジャパン」の崩壊、危機が迫っている。働き方改革などと念仏を唱えている時間はない。
産業界に性善説は通用しない。性悪説にたって産業界の総点検をしなければ、日本の財界に明日はない。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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