有楽町マリオンの左半分…往年の日劇があったところであり、日劇ミュージック・ホールが存在した場所、ここでトニー谷というソロバン片手にタップを踊っていた芸人や、美空ひばりの東京キッドも聞いたし、高峰秀子の銀座カンカン娘も見た…に阪急MENS TOKYOと称するデパートができた。
東京では、唯一のメンズ・デパードは新宿伊勢丹にしかなかったので、衣に関してはもっぱら伊勢丹メンズのお世話になっていた。カードもほかのデパードは総て破棄し、伊勢丹だけにしぼっている。
昔からパリのギャラリー・ラファイエットには正しくメンズ館はあったし、ニューヨークの五番街にも男子専用のグッドマンがあった。人真似なら人後に落ちない日本のデパードがいままでメンズ館を造らなかったのが不思議なぐらい、伊勢丹だけは先んじてメンズをつくったのだが、それでも少し腰がひけていた。
ファッションやスキン・ケアに多くの投資をする男たち、「メトロ・セクシャル」などという流行現象にのってようやく表通りに出てきたという印象だ。
阪急メンズ・トウキョウは、大阪梅田の阪急メンズ館の経験をもとに、構成したそうだが、空間演出や色彩感もなかなかにこなれていて、従来の女子デパートにないきりっとした大人の雰囲気に満ちている。一階のメンズ・アクセサリーから、インターナショナル、ジェントルメンズ、オーセンティツク、クールトレンド、と少しずつ趣味もかわり、イベント・スペースではリアルクローズ、リアルテースト、リアルプライスの等身大を訴求しているあたり、マーケティングもあなどり難い。
バブル期西麻布にメンズ・トウキョウというクラブがあり、マッチョな外国男子がストリップをカイチンしていたが、女子遊び人たちはキャーキャーいって万札を投げていた。あっという間に消えてしまったメンズ・トウキョウだったが、有楽町のこのヤカタにはぜひ頑張ってほしい。
メンズ・トウキョウOLD・NEW
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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