不覚にも近頃味噌がペットボトルに入っていることを知らなかった。日々の暮らしと切り離すことの出来ない味噌の難点、溶かすときのダマ、濃さの調節、使い切りの難しさ、これらを一気に解決したのが、「すぐとけ、すぐうま」手間いらず液状タイプのだし入り味噌だそうだ。開発したのはくりくり坊主のマルコメ君、もっとも使いやすい10倍希釈で計量しやすくペットボトル入りで冷蔵庫のすみにおさまる。液味噌赤だし、液味噌信州、液味噌合わせ、液味噌絶品の味、だし無しタイプお料理らくらく液味噌と一通り揃っている。単身者やなんでも合理的に考える若い女の子に人気で、「おみおつけ」などとよぶ江戸女房言葉の雰囲気はどこかへ消えてしまった。乾燥野菜にお湯をかけ、液味噌いれて「さあ、起きなさい。おふくろの味が出来たわよ。」おふくろ達は草葉の陰で泣いていることだろう。昆布、鰹節、煮干でしっかりと出汁をとり、季節の野菜をえらび、豆腐、なめこ、油揚げ、あるいはアサリ、しじみなどあさげの楽しみを奪われて、時代はカンタン・レシピに収奪されていく。が「味噌にぎり」だけは液味噌では作れまい。
プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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