ベルエポックを眼と舌で味あう

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 パサージュ…直訳すれば、ただの通り道だが、今パリに残る10数か所のパサージュには、19世紀初頭のパリの人々の生活感、通り道への美意識が色濃く残っている。
 そうしたパサージュのなかでもっとも美しいといわれているのが、ギャルリ・ビィビィエンヌだ。雨の日のために用意されたガラスの屋根は優美に造られ、足元のモザイク・タイルはイタリアから職人を連れて来てカットされた工芸品の趣きをたたえている。
 パレ・ロワイヤル王宮の庭に近く、フランス革命以前の貴族の趣味がそのままに生きてゐる。ア・プリオリテと言う名の素敵なサロン・ド・テもあるが、今日の主役は隣接する古き良き時代の息遣いの聞こえる Le Grand Colberl ル・グラン・コルベールと言うビストロだ。
 ベルギーからパリへ日帰りで来てくれたウィルソン家のトムとトミーに連れていかれた。
 ルイ14世の財務大臣だつたジャン・パティスト・コルベールの屋敷跡に造られたので、パリに残るベルエポック期の建物のなかでも有数の建築物だという。
 映画「恋愛適齢期」で、ダイアン・キートンを巡りジャック・ニコルソンとキアヌ・リーブスが恋のさやあてを演じたのも、このビストロの一隅だった。
 メニューも、ニシンのマリネ、サーモンのタルタル、スズキのフィレ、鴨のコンフィなどに、ポテトのグラタン、なすのキャビア添えといった伝統的なものが多い。
 ル・グラン・コルベールは古き良き時代を、眼と舌で味わうことのできる貴重なビストロだった。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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