ブロッコリーの内縁解消

　シアワセの真っただ中にいる新婦が、友人めがけて「ついてらっしゃーい!!!」と投げるのが、ブーケ・トスである。受け取った参加者はこれで私にもシアワセがやってくる、と納得する。おなじみの教会式結婚式である。
　海外の結婚式にはもうひとつ。「ブロッコリー・トス」がある。
　新郎が男の参列者に向かって、「おまえらも結婚しろ!!! 」とばかりに花束ならぬブロッコリーを投げるのだ。
　花とブロッコリーにジェンダー差別が存在すると「意識高い系」の人々はいうかもしれないが、花束に群がる未婚女性たちを指をくわえて見ているばかりではなく、次はわれらと身構える結婚勘違い症候群の男たちに嬉しいのはブロッコリー・トスなのだろう。

　このほどブロッコリーが、野菜生産出荷安定法による指定野菜に加えられた。
　全国的に流通し、消費量も多く、国民生活にとってたいへん重要な野菜である、と国家が認めたわけ。
　いままではなんとなく舶来野菜のごとく、継子扱いだったのが、ようやくキャベツ、トマト、キュウリ、大根なみに指定野菜に加えられ、事あるときは国家の手厚い保護が受けられるようになった。いままでは勝手に同棲してたのが、正式に結婚を認められた、状態になったのがブロッコリーの身の上である。
　スバイ映画のレジェンドである００７シリーズのプロデューサーであるカビー・ブロッコリー家と野菜ブロッコリーの因縁は承知していないが、ブロッコリーの歴史的背景は面白そうだ。