インターネットで探すという機能を誰も持ち合わせていなかった30年程前、トイレット・ペーパーは白い無地とみなが思っていた。そこに波紋を投げたのが、青山の紀伊国屋だった。淡いピンクと淡いブルーと淡いグリーンの花柄のトイレット・ペーパーが店頭に並んだ。
これはなかなかに珍しいとばかり我が家のトイレで使用開始したところ、早速にお茶屋の女将から注文が入った。「あの縁起のいいトイレ紙送っておくれやす」はて何が縁起がいいのかと尋ねたところ、「フクノカミやおへんか。おたの申します」大きなボール箱につめ早速に送った。
数年前、とあるトイレで黒いペーパーに遭遇した。シックでとてもスタイリッシュなのだが、初体験のせいか、引っ張り出してチギッテ用の役にたてるのにはばかられ、とても緊張した。調べたところ新宿のコンラン・ショップに置いてあるという事がわかり、その年のお歳暮は円筒形のボックスに入った黒のトイレット・ロールを送った。
変わった贈り物有難うございます。家では使わないで飾ってあります。そんな反響が多く、我が家でも白と黒の二本のロールを並べて置いてみたが、誰も黒いロールには手を出さない。どうも黒いロールを使用するというのは抵抗があるらしい。色が移るという訳でもないのだが、拭く紙は白という生まれてこの方の概念を壊すのはかなり難儀なようだ。
レノバというヨーロッパのトップ・メーカーからは、バージン・パルプ100%の8色のトイレット・ロールが出ている。Blackを先頭にRed.Yellow.Blue.Pink.Orange.Greenといった配色だが、さて日本人がなじめるトイペの色はどれだろう。
とあるアラホォーの声あり、そんなカラー・トイペより一生に一度はこっちで拭きたいわ、覗いてみたら「皇室献上、最高級の肌触り、羽美翔ロール」とあった。
フクノカミいろいろ
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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