フェイス・ブックという名の情報泥棒

　2012年6月にフェイス・ブックが、顔指紋の解析アプリを造ってきたFACE.COMを一億ドルで買収した。
　このニュースはあまり話題にならなかったが、これはフェイス・ブックがいよいよ世界一の人肉検索システムに手を突っ込んだ証しと受け止められている。
　彼らはすでにシステムの無料利用権と引き換えに莫大な個人情報をむしりとっている。職業、学歴、住所、性別、生年月日、電話番号、クレジット・カード番号、メール・アドレス、家族構成、アクセス場所、最終移動履歴、友人リスト、趣味・関心、政治的関心、宗教まで57項目にも及ぶ。自宅の姓名表記すら拒否する近頃の若者たちが、PCの前に座るとスッポンポンになる神経は理解に苦しむが、書き込まれたデータから、さまざまな情報が解析できる。さらに最近では登録写真、一日あたり2億5000枚という莫大な投稿写真、顔指紋からえた生体情報、人間情報すべてを解析する危険なネットになりつつある。
　アメリカ人の9割以上の個人情報をもつACXIONは政府や企業に個人情報を高く売りつけ、莫大な利益をあげているが、フェイスブックもまたその路線をあゆみつつあるようだ。いったん経営が傾けば、個人情報をすぐに売りに出す。ステルス・マーケティングのためだけでなく、戦争でも起こればまさに宝の山、スパイそのもののビジネスになる。
　国家情報をあえて流失させたウィキリークスのジュリアン・アサンジすら「フェイス・ブックは常軌を逸したスパイ・マシーン」と言っている。アカウント登録を実名以外受け付けないとう関所で、立ちどまって考えれば、容易に理解できることが、新しい人間関係の開拓というキャッチフレーズ、アメリカンな妄言のまえに騙されてしまう。