パンツを穿くと逮捕される

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 あぐらを掻いてはいけない、またを開いてはいけない、女性に対する色々なシツケはここ二十年位の間で、ほとんど消滅してしまった。男女共同参画社会にとって、誠にお目出度いことだ。
 後押しをしたのは、アメリカンなバイリンガル達、英語に敬語はなく、ひたすらにミーとユーで自己主張して生きているので、目線はいつも上から目線、社会から先輩から学ぼうという意識が薄いので、当然のごとく堂々とセックス・イン・ザ・シティの四人組のごとくになる。
 足を見せる、というファッションについても、ユニセックスな意識と、ためらいのない心地よさがあいまって、無制限に増殖している。が品よく穿くパンツ・ファッションはなかなかに難しい。
 レギンス、クロップドパンツ、トレンカ、スキニー、バギーパンツ、タックパンツ、カーゴパンツ、ギャザーパンツ、カプリパンツ、ワイドパンツ、…女性の華やかさに比べ男たちは情けない。部屋着の王座スエットにジーパン、そしてお仕事のためのズボンぐらいしか浮かばない。
 フランスでは女性が、ジーンズ、パンツ、パンタロンなど、ズボン類を穿くときには、知事の許可を得なければならない、と1800年11月17日施行の条例にはっきりと書かれている。
 男装の麗人として有名なジョルジュ・サンドも、アンドル県の知事に許可をもらってズボンを愛用したそうだが、その条例はいまだに生きている。
 街をゆく女性の70パーセントはいまやパンツ・スタイルなので、当然廃止してしかるべきだが、議会はそのままにして、同性婚の可否に関する議論に湧いている。
 お洒落なのか、不作法なのか、パンツ増殖への判定にはまだまだ時間が必要なようだ。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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