来年のパリ・オリンピックテスト・イベントが始まった。
先週はトライアスロンだった。
世界中から集まった選手達は、無心に泳ぎ、走り、そして自転車に乗ってパリ市中を走り抜けた。
始めは漫然とみていたが、途中からハテ、マテヨこのイベントはなんだ、なんなんだ、という疑問が頭をもたげた。
フランス人の頭の良さ、フランス人のズル賢さ、視点を変えればフランス人の国を愛する民族愛に溢れたイベントになっている。
オリンピックの名のもとに、あらためて世界中のメディアにフランスの歴史を紹介させ、観光ポイントを紹介せざるをえないように、コース設計がなされている。
五輪中継をするためには、そこにあるフランスの歴史に触れざるを得ない。
凱旋門、ブローニュの森、セーヌ川、エッフェル塔、ルーブル宮殿、オルセー美術館、バスティーユ広場、サンマルタン運河、ラ・ヴィレット公園……等々、中世のパリが残した遺産からフランス革命、ナポレオンの登場、近代パリの誕生、エッフェル塔の万国博覧会、フランス革命のバスティーユ、食肉工場の再開発から未来型コムュニティ広場の建設まで、フランスの歴史を紹介しなければならない生きたパンフレットが、オリンピックのコースに設定されている。
セーヌ川の水質問題もヴィレットのコースであれば、浄化剤を播けば簡単に解決できる。
歴史知らず間の抜けた日本人にはとても思いつかない見事なパリ五輪である。ほとんどの競技で既設の会場を使うため、新規の不動産投資はほとんどない。つまり予算の心配がない。それでも世界中の企業がいつかうちの宣伝を、と夢見る施設が会場なので、フランス・オリンピック委員会は笑いが止まらない。
オリンピックのお蔭で全世界に何億万枚のパリ観光パンフレットがまかれる。それもメディア総動員である。
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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