パリの日本食は、ニューヨークの日本食を遥かに越えている。残念ながら質というよりは、量でこえているのだ。
オペラ・ガルニエからルーブルに向かう左側の裏道に入ると、まず日本食レストランの多さに驚かされる。半分はラーメン屋である。古典的なさっぽろ・ラーメンから、池袋・西新宿発祥の新興ラーメンまでそろっている。ひところ町中にあった中国人やベトナム人によるエセ・ラーメンはだいぶ淘汰された。
九州に発する一風堂などが、あちこちに支店をだし、彼の地の食習慣にフイットするようメニューの工夫を重ねている。
うどんも頑張っている。浪花の薄味を標ぼうする店から、さぬきや、喜心、国虎屋まで、うどんビストロがある。
国虎屋では、かけうどん、月見うどん、納豆うどん、天ぷらうどんから、冷たいざるうどん、タヌキざるうどん、さらにご飯、丼物として牛丼、かつ丼、炊き込みご飯、いなり寿司までそろえて、うどんビストロの名声をえている
蕎麦も真面目な蕎麦やがあってかなりの水準だ。サンジェルマンのカフェ・フロールとドウ・マゴの間をはいったところには「円」という名のそば・レストランがある。山梨で本格的な修行をつみ、いまでもその日の分を手打ちにしてだしている。客層もハイレベルなフランス人が多い。
本格的な日本食では「奥田」にとどめを指す。もとは東京の銀座で人気の高かい店だが、ココロザシをもってバリに店をかまえた。寿司やと懐石料理だ。そのうえ魚がまずくては、良い日本食はできない、というので魚の卸もやっている。
パリの超高級ファッション街アベニュー・モンターギュ近くに店を構え、財界やファッション業界のエリートを迎えてる。
そうしたパリの日本食を支えているひとつに「山下農園」がある。東京、横浜生まれの山下朝史・尚美夫妻が経営する農園だ。パリから20分ほどの郊外にあるささやかな農園で、日本からの野菜の種にかぎって無農薬・有機で栽培している。
言葉を換えれば、日本野菜のオートクチュール、パリの一流レストランに納入してよろこばれている。
ここのカブは KABU de yamashita とフランス人シェフの間でもすっかり人気が定着している。
パリの日本食事情
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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