今年もまた軽井沢ラブソング・アウォード作品募集の季節がきた。もうざっと10年続いているラブソング公募のイベントだ。僕の役割はまず40名近くいるチャーター・メンバーに今年のテーマをプレゼンするところから始まる。始めのころは「あなたが創る21世紀の愛の唄」とか「新しい愛の唄で100万円」とか公募イベントの衆知をはかるのが目的のキャッチ・フレーズをかかげた。だが応募作品の裾野を広げようと次は「ななつの愛」といった具体的な愛の状況を提示、次には音楽そのもののカロリーアップを狙って「愛してるという、殺し文句」パンチのあるコピーを提示、中途半端な抒情性にいらだち、あくる年は「うれしくて泣く、あいたくて泣く」といった究極の感情をテーマに選らんだ。この辺から時代の感情表現もだいぶ変化してきたのでそうした世代感覚に棹さして「愛おどる」というリズム系のテーマをかかげた。ステージ上はかなり陽気にはじけた。そして昨年が「出会えた!」その瞬間をテーマにとりあげたが、消化不良の域を脱していなかった。そして今年は「バラードはいらない」愛し愛される歓びを踊るリズムにたくしてほしい。だから感傷的なバラードはいらない。ウェットな日本人の感性はなにも考えずにラブソングをバラードで料理する。モームスやAKB48ではまず考えられない音楽との付き合い方が全国的にはびこっていることへのアンチ・テーゼでもある。
プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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