ドーピングと商売のはざまで

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ドーピングと商売のはざまで
 世界テニスの女王マリア・シュラポアが申し訳なさそうにインタビューを受けている。
全豪オープンのドーピング検査の結果、陽性反応がでたというのだ。2006年から医者に心臓の薬として服用指示されていた「メルドニウム」が今年から禁止薬物に指定されたというのだ。国際テニス連盟は5回にわたり警告していたといい、本人は知らなかったと言っている。
 早速に反応したのは、ロシア当局、プーチンの愛人と噂されている新体操の五輪金メダリスト・アリーナ・カバエワを、ロシア最大のスポーツ紙スポーツ・エクスプレスの編集主幹に迎え、シャラポアの援護体制をひいた。
 「メルドニウム」は30年以上前から使われている心臓薬で、この騒動はアメリカの陰謀であるとぶち上げた。ロシア・スポーツ界ではあたりまえのように使われてきた薬で、ドーピング対象薬としていまさら取り上げるのはおかしいというのだ。
 ドーピングについての米ソの確執はともかく、そのまえには北京を舞台に馬軍団による水泳競技スケート競技などの集団ドーピング問題があった。
 99パーセントの確率で筋肉増強剤が使われ選手の肉体改造に役立てていたというのだ。こうした現実から想像できるのは、スポーツが国家の発揚に利用されるかぎり、ドーピングの問題はついてまわるということだ。
 資本主義国においても、いまやスポーツは個人の手から離れ、事業体の一部に成り下がっている。
 営業マネージャー、スケジュール管理、コーチングスタッフ、食事管理、それに関連グッズ担当だの代理店が入り乱れて利益活動の核になり、スポーツマン個人には、引退の自由もないという悲惨な現状になっている。
 個人としても国家としても、スポーツの在りようについて、今こそ根本的に考えなければならない時のような気がする。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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