デジタルなお誘い

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 「どうしてご連絡をくださらないの」「ずっとお待ちしてます」
 はて、そんな不義理を重ねた相手は誰だったか。胸に手をあてて考えながら、あやうくクリックしそうになると、スタッフの女性から怒声が飛ぶ。「開けちゃダメですよ。ウィルスが入りますから。」あぁそうだったか。メールというのは本当に厄介ものだ。
 ウィルスバスターを最近延長したところ、毎日のように、3ヶ月優待キャンペーンだの、新しいサービスが付きましたと、うるさいことこのうえない。毎日デスクにすわると、まずパソコンをひらき、不要と思われるメールをゴミ箱に運ぶことから一日が始まる。
 ここ二、三年、海外にでることが多かったせいか、横文字のメールが飛び込むでくる。初見参のプロバイダーの名前にとまどうが、よく見れば、「CATHERINE」とか「MANON」とか「MIMI」とか如何にもの名前だ。出会い系というのは、どこの国にでもあるようだが、怪しげな名前に対する知識はないので、いつも危機一髪の状態である。
 一時はバイアグラなどの性機能強化薬品のメールがやたら多い時期があった。どぎつい色で海外からのメールなのだが、50パーセント引きとか、なかには80パーセント弾きなどという、強力な宣伝、薬ばかりはもしものことがあれば命取りになるので、次々と着信拒否できりぬけた。
 さて最近多いのは「近所の奥さまが待ってます。」というメール。大都会なら充分に訴求力のあるコピーだが、軽井沢では通用しない。待ってるとすれば、近所の奥さまはあそこと、あそこしかいない。はてどちらの奥さまかと妄想しても、たちまちにしていきずまる。そんな筈はないのだ。
 デジタル時代のお誘いは真贋の判定が難しい。
 フェイスブックとやらで、つぎつぎとお友達をつくり、「いいね」とクリックする軽さは、僕らの世代は持ち合わせていない。
 


コメント

1件のフィードバック

  1. 迷惑メールというか、メールソフトやウイルス対策には、それぞれの流儀と習慣があって、安易にお奨めしない事にしていますが、
    ブロガーさんには、FacebookのFanページをお奨めしています。
    と言っても、お友達を増やしたり、いいね!の応酬というより、ブログ更新のお知らせ的役割に限定する使い方です。
     詳しい説明は省きますが、個人ページではなく、Fanページという、お友達登録をしていない人達も、キーワード検索等、何かの拍子にページを訪れる機会があるので、ブログ本文のコピペだけで、一回分投稿が成立するので、もっとも少ない手間でブログ更新告知が可能です。
    コメントも、FaceBookに登録している人だけが書き込み可能なので、コメント主の素顔を知る事ができて面白いと重います。

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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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