デコった果てに?

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 デジカメ、ケイタイ、名刺入れ、身の回りの小物をやたらデコルのが流行だそうだ。睫毛をもり、髪をもっても満足せず身の回りのものすべてをデコリ倒す。日常生活に満足していないと、どうしてもそっちへ関心が向くらしい。かってニューヨークのハーレムで、大きなアメ車の派手にデコッタ行列を眼にしたことがある。その時の友人の解説は、ブラックの人々の住まいが貧弱なため、ああいった車のデコリでストレス解消しているのさ、だった。ハーレムには豪華な車が多い。気が付くとネールアートと称して爪に奇妙な絵を描いて喜んでいる奥様がいたり、日によって黒い爪やら赤い爪をみがいて満足なレディがいる。華やかにデコレーションされた携帯をみていると、きっとこのケイタイには不幸な電話や暗い電話はかかってこないのだろう。シアワセでノーテンキなメッセージしか受け付けない不思議の国のハッピーフォーンに思えてくる。もうすこし若ければ、ピンクのリボンやハートの宝石に飾られたケイタイを手に、山の彼方からの愛のささやきを待つのも一興かもしれない。デコったカメラに写るのは、贅沢の果ての荒涼たる風景に違いない。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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