ディズニーランドの甘いキャスト

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 東京ディズニーリゾートで問題が起こっている。
 ディズニーシーの「マーメイドラグーンシアター」のキャスト二人が突然に首を言い渡された。理由は新しくショーをリニューアルオープンするので、やめて貰うということだ。首のふたりは猛然と怒った。
 毎日JR舞浜駅に立ち、「キャストを使い捨てるな、夢の場をブラック化させない」とビラを配り、あちこちに訴えている。
 そもそもこうしたアメリカ系企業、…ディズニーランドはオリエンタルランドの経営だが、運営すべてのノウハウはアメリカのディズニーが握っている。
 アメリカに於ける芸能契約の厳しさを、この二人の日本人キャストは知らなかったのでは、と思われる。
 出演契約では、あらかじめ能力基準を厳しくさだめ、それに劣ればただちに首になるし、場合によっては損害賠償まで要求される。但し当方に非がなければ、保険により保護される。
 二人のキャストはそうした芸能契約の明細には意をとめず、憧れのディズニーシーで喜び勇んでミュージカルしていたのではなかろうか。
 上演演目の良否は営業利益に直結するため、とくに厳しい。下請け業者によって送り込まれたキャストは、通常の日本の出演業務と同じく、気軽に出演していたと思われるが、アメリカではまずそんな気楽な芸能出演はない。つまり、ブロードウェイはブラックだらけ、それ故に「ショー・ビジネス」なのだ。
 ウォール街の非情な拝金思想と全く同じなのが、ディズニーランド。ゴールドマン・サックスやシティコープとまったく変わらないのが、ディズニーランドと心得なければならない。
 ディズニーのキャストは、角のラーメンヤの店長とは違うのだ。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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