何気なくクルマを走らせながらスピーカーから流れる音声に耳を貸していた。
電波はabnステーションだった。テレビ朝日の社友としては、漠然と地元の系列局を聞くことがある。中継のテーマは長野城山公園の桜中継だった。男性のレポーターが、花見客に話かけている。
「花見茶屋というのは、長野だけにある、ということ知っていましたか?」一瞬あっけにとられた花見客にレポーターはさらにおっ被せるように「花見茶屋は長野にしかないんです」このレポーターは何を言っているんだろうと思ったが、これほど確信にみちて発言しているということは、制作スタッフにいわされているに違いない。いくら長野の視聴者であっても、花見茶屋が長野にしかない、などという馬鹿馬鹿しい発言には、惑わされないと思うが、それにしてもひどすぎる。
花見の名所にいけばどこにでも花見茶屋はある。福島の花見山にも、九段の靖国神社にも、京都の丸山公園にも、平野神社にも、花見茶屋はいやと言うほど沢山ある。
どうせヒマネタだから、という訳で適当に出鱈目を言っているのだろうが、朝日の名前を冠したテレビ局がこのいい加減さでは、外の情報も信用されなくなる。
最近のテレビはあまりにもひどいので見ないという人がますます増える。
電話したところ、報道デスクは花見茶屋は長野だけと認識しているという返事が返ってきた。
つまりabn長野朝日放送あげての見解がこの有様では、情報の精査などは夢のまた夢、テレビの品質低下、スタッフの能力低下が行きつく処まで行ったということだ。あまりにひどい。
テレビの明日を暗示する絶望的な花見中継であった。
テレビ報道の出鱈目ぶり
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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