テレビの崩壊

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 某週刊誌編集部では毎週発売日にカケが流行っている。
 今週は何本の掲載記事使用許可依頼の電話が掛かってくるか、というカケだという。
 相手はテレビ・キー局のワイド・ショー下請けスタッフ、自分たちで取材し番組コンテンツを作るという姿勢はまったくなく、週刊誌にオンブにダツコ、このネタには食いついて来るな、との予感はスバリ的中と豪語している。
 テレビ各局はみな新聞系列の支配下にある関係上、初期は系列新聞からの抜き取りニュースばかりだった。がテレビの肥大化とともにマネージメントが正面に登場し、スタッフはあらかた外注となった。下請けは新聞ナナメ、雑誌パラパラ、手抜き手抜きで時間を埋める。
 プライドもなければ、ジャーナリストとしての意識もないから、どの局も同じニュース同じ話題がかぶる。
 ドラマにしても殺しこそキラーコンテンツとなれば、すべて殺しの刑事もの、高齢者社会をにらんだ医療介護もの、若者向きにはマンガ由来の変な恋愛もの、もしくは海外ドラマの丸呑み引き写し、主役はスポンサーお気に入りのCMキャラクターを代理店が突っ込んでくる、制作現場にはまったく創造意欲がなくなってしまった。
 「出演者は少なくていいし、製作費はかからない、リサーチもいらないし、スポンサーとのパイプが築ける」と高評価なのは、「お願い!ランキング」に代表される露骨なヨイショ番組。同一店舗内の商品に優劣をつけるスタイルから、同業他社を集めて一位・二位を競わせる特別編、総選挙シリーズがある。
 冷凍食品総選挙からハンバーガー総選挙まで、よもやAKB48を見習った訳でもないだろうが、破廉恥な商魂に開いた口がふさがらない。玄関脇のショップでは、モモイロクローバーZの関連商品が山と積まれて売っている。


コメント

1件のフィードバック

  1. 地方のキー局を見ていて、思うのは、ただ、番組を横流しするのに何故こんなに人員が必要なのかと言う疑問です?
    今回更に、その疑問が膨らみました!
    TV局の余剰人員は、どうやって仕事を細分化して働いているふりをしているのか?
    お役所仕事に代表される、このシステムが残る限り、TVの創造性は期待出来ません。

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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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