ソメイヨシノを成敗せよ

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 テレビのニュースにはサクラの開花情報が溢れている。
 今日は四輪しかひらいていなかったので、明日は開花宣言が出るでしょう。そんなことはどうでもいい。ましてや気象台の職員が双眼鏡片手に、あちこち桜のひらいたのを探して歩く映像にはあきれてものもいえない。
 日本人の桜への思いの深さや愛情は世界一と思うし、花に託して語る人生観もはかなく美しい。だからといって重箱の隅をつつくような蕾探しや、花見の席取り合戦の報道が地上波を占拠するほどのものとは思えない。桜への過剰反応、桜への情報過多といってもいいだろう。
 ソメイヨシノ、ソメイヨシノと連呼する女子アナは恐らくソメイヨシノしか知らないのだろう。江戸期の植木屋の生み出したお手入れ簡単、大量生産のソメイヨシノは、当世風に呼びかえればコンビニ製の桜のようなもの。けっして品種として優れているわけではない。
 一番の欠点は病害虫に弱いこと。二番目に木そのものの寿命が短いこと。ソメイヨシノの遺伝子があちこちの桜に移され、いま大問題になっている。戦後そこら中に植えられたソメイヨシノの遺伝子が飛び、日本古来の野生種に変化がおきている。
 アメリカ生まれのブラックバスによって、在来種が滅亡しつつある日本の湖沼とおなじことが陸でも起きている。
 もし日本の桜を守ろうとするならば、一刻も早くソメイヨシノを退治して在来種に植え替えしなければならない。
 日本に伝わる桜の在来種は十種、ヤマザクラ、オオシマザクラ、エドヒガンサクラ、タカネサクラ、マメサクラ、チョウジサクラ、カスミサクラ、オオヤマサクラ、カンヒザクラ、ミヤマサクラ。エドヒガンサグラの枝垂れ種である「シダレザクラ」は、優雅な美しさに於いて圧倒的な存在感を有している。
 手軽なクローン桜であるソメイヨシノは一刻も早く抹殺しなければならない。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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