ステマと番宣のテレビ

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 大衆を欺き、騙すのが目的のステルス・マーケティングが爆発的に広がっている。
 昔からあった行列の「並び屋」や、イベントの「サクラ」、健康器具の「ヤラセ」などは、フィールドの狭さからあまり問題にもならず、まあ頑張ってお演りください程度のことで、見過ごされてきた。
 がネット時代とともに、人の心を操作するステマの質量が圧倒的にふえ、「クチコミ・サイト」や、「ランキング・サイト」などには、無数の書き込み捏造業者がむらがって商売をしている。提灯記事による高評価書き込みを実行し、そのお店の評価を上げてランキングの上位に位置づける。そのお礼に店からお金を貰うという仕組みだ。「食べログ」の運営会社が調査したところ、、39の業者がみつかったということだ。
 そうしたステマ以上に悪質なのは、テレビ番組上で日々当たり前のごとくにやられている「番宣」と称する自社番組の宣伝だ。広報局内には当たり前のごとく「番宣プロデューサー」なる人間がいる。 番宣プロデューサーは、レギュラー番組、特別番組、出資映画、そのほかあらゆる自社イベントの宣伝に、自社番組を利用する。すでにスポンサーのついている既成番組に、新しく立ち上がる新番組の宣伝をくりいれるのだ。
 つまり典型的なマッチポンプで、全くモラルのないステマ以上に厚顔無恥な行い様なのだ。一社提供の番組ならスポンサーの立場からクレームもつけられるが、折からの不況でそのほとんどが相乗り提供では、番宣プロデューサーのやりたい放題になっている。もっとも好都合なのは、バラエティお笑い番組だ。ゲストとして役者を入れて番組内で宣伝させる。近頃の役者も軽いので、嬉々として宣伝マンを務める。
 タベログからテレビまですべて、ブラックマーケットの産物になっている。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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