久しぶりにSTAS夏の踊りを見た。
もとは松竹歌劇団SKD幹部4人の情熱から生まれたこの小さなレビュウ・グループが、30年を迎えたというのには驚いた。
ひとえにレビュウを愛し、レビユウを信じてきた4人の持続力にエネルギーの素があるのだろう。
コロナの3年間でだいぶカロリーは落ちたかと心配したが、メンバーは若返り、リズム感の優れた踊り子たちで舞台は溢れていた。
何年か前、春、夏、秋のおどりといった商業公演引き写しの上演様式に転換した頃から、テーマ不在の思い出レビューまっしぐらに走っているようだ。
西崎真由美を彷彿させたり、篠井世津子をおもいださせてくれたり、ボブ・ホッシーの消化不良が登場したり、器用にまとめて終了といった作り方、振付の能力とダンサーのレベルがそこそこにまとまって楽しませてくれる。
全体の音楽構成は良いのだが、ミクサーの音痴には困惑した。フェーダーを握る手にまったくデリカシーがない。レビューは大音量で流しておけばそれでいい、といつた基本のないミクシングでだいぶ損をしている。馬鹿でかい音量はいっきに田舎レビュウのレベルに引きずり降ろす。
一景ごとにソツナク纏めて良しとするのも結構だが、三景とか五景をプロダクション・ナンバーとして小さなテーマを踊りこんでいくことも重要だ。間の小芝居は少しコミカルならばいいというのは50年昔で終わっている。
安定的なラウンジ・レビュウに育ったSTASのこれからが楽しみである。
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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