ニューウェーブ・キャンプに行こう、とアジッテ透明なドーム型ホテルが乗っていた。
場所は那須の御用邸近く、森の中に存在する。サイズは7.8メートルの直径がある半円形の透明ドーム型コテッジだ。「滴るような緑の森と青い空も素晴らしいが、圧巻はベットに横たわったまま眺める星空……」とマネージャーはいっているが、透明ドームのなかのベットは外から丸見えである。プライバシー・ゼロのホテルというのも珍しい。
余程の露出願望のある人か、羞恥心をうしなった老人しか、このコテッジには泊まれない。24時間の日常行動すべてを他人の眼にさらして初めてここに泊まる意味があるわけだから。それでも近頃は、SNS映えとか、自己承認要求とか、不思議な人々が次々と登場するから、こうした大胆なモクロミも成功するのかもしれない。
経験則にもとずいていえば、夜の透明ドームで灯りをつけたら、あっというまに森中の虫が集まってくる。ドームは虫でいっぱいの黒い球体になる。虫越しの星空もいいかもしれないが、一匹の蛾に大騒ぎするいまどきの女子達は絶対に入れない。そのうえドームの周りにヘビなどやってきてドクロをまいていたらどうするのか、興味はつきない。ホテルのスタッフは一晩中ドームに張り付いて監視していなければならない。
メディアでは、自然をしらないナチュラリストが登場して、降りそそぐ太陽とホシのひかりを体験しましょう、と笑顔をふりまいていた。
シースルーの暮しは出来ますか
コメント
1件のフィードバック
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時代は確実に変わってきています。
これまでの価値観や考え方など木っ端みじんになってきました。
個人情報保護と叫ぶ一方で、透明な、人から丸見えのコテージとは !!
無能な人間には、頭の中の整理がつかなくなりました。どうしたらいいでしょう。
プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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