ショー・ビジネス界のマフィア。

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 200万人の都市に120のホテル、それぞれに劇場、舞台を持ち毎夜毎夜多彩なショウを繰り広げているのがベガスの夜。シンガーを中心にしたミュージック・ショー、マジック・ショー、パフォーマンス・ショー、伝統的なダンス・レビュー、スーパースターのソックリ・ショー、お色気たっぷりのトップレス・レビュー、愛好家のためのメール・ショー、ブロードウェイ直送のミュージカル、そしてメガ・ショーと呼ばれるとんでもない金をかけたショー、が競っているショー・ビジネスの中心、それがラスベガスだ。
 そのベガスのイマを仕切っているのが、九つのメガ・ショーを製作しているサーク・ド・ソレイユというプロダクション。その豊富な資金力とシアター・ショーの常識を覆した発想力によって最大のショー・プロダクションにのしあがった。
 彼らはまず劇場作りから始める。500億規模の大改造をほどこし、客席を含め超立体的な空間をつくる。1000億かけたといわれる「KA」という作品では30度の勾配をもつ2000人の客席に4階建の16個のタワーがたっている。このタワー2本分で大賀ホールが建つ感じだ。その上あらゆる火と水に対応できるメカをつくる。滝から池へ、湖へ、急流へ、そして大海へ、水は滴から荒れ狂う大波まで自由に演出でき、20mの天井から飛び込んでも安全な深さを確保している。大海は一瞬にして砂漠と化し、草原となり、火の海となる。道具も鋼鉄製の巨大な宇宙ステーションのようなものが、ホリゾントを割って登場し精密機械のごとくに自由に動き回る。彼らにとっては地上も空中も天上もおなじ目線にある。
 その上で、演技、歌、メーク、衣裳、シンクロ、フライング、サーカスあらゆるパフォーマンスの技術を使って、ショー・アップにいどむ。日本にきているシルク・ド・ソレイユの百倍以上のスケールだといえよう。ここでもキャストの20%は中国人が占めている。
 このメガ・ショウの出現で、いままでの豪華絢爛レビューは過去のものになってしまった。ジュビリーもタカラズカもレトロな見世物になってしまった。
 


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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