シャネルの黒いエクレア

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 シャネルが黒いエクレアを売り出す訳ではない。
 パリのスーパー・パティシエと言われているクリストフ・アダムが、定番スィーツであるエクレアの大革命に乗り出した。年末のクリスマスに売り出されるのが、シャネルの黒い服をイメージしたエクレア。アダムはほかに宝石をイメージしたルビー、サファイヤ、アメジスト、等など輝く色のアイシングに彩られたポップなエクレアも作っている。
 パリのお菓子と言えば、マカロンにエクレアで決まりだが、日本のスイーツのように見た目に走り、マア可愛い、とか柔らかーいといったコテコテの装飾過剰スイーツはあまり歓迎されない。それは子供のもので、大人が楽しむスイーツではない、という評価なのだ。スイーツにも大人のシックが要求される。
 何処までも内容本位で、スポンジの素晴らしさとか、クリームの工夫とか、チョコと異素材とのハーモニーとか、スイーツの本質に関わり、伝統的なスタイルのものに人気が集まる。日本ならさしずめカステラみたいなベーシックなものとか、大福のように伝統的なスイーツが注目される。
 ベーシックなものを満足に作れないやつが装飾に走るという認識、このことはスイーツに限らずドレスでもヘア・デザインでも、シンプルでシックな仕事をこなせて始めて一人前のパティシエなのだ。
 パリのマレ地区にあるエクレア専門店「レクレール・ドゥ・ジェニ」では、見事に伝統的なエクレアが並んで人気を呼んでいるが、アイシングの工夫だけで20種以上のエクレアがある。
 去年のクリスマスには、サンタクロースのデジタル画像をあしらって人気を得たが、ことしはサンタの恋人をモチーフにエクレアを飾るということだ。
 近く東京にも進出するというパリの名物エクレア、いまから楽しみにしている。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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