サンジェルマンの辺り、シェルシェ・ミディの通りから、グレゴリーを左に曲がるとすぐに行列が見える。
来々軒、どさん子、ひぐまなどそれぞれに頑張っているパリ・らーめん界のなかでも、いま一番に話題を呼んでいるのは「一風堂」なのだ。
日の丸に麺かそよぐロゴと、そこに表示されたIPPUDOのしたには、赤い文字でオーセンティック・ラーメンと書かれている。
30人はかるく収容すると思われる店内は、センスのいい白壁と自然木でさっぱりとしたインテリア。パリ娘のグループ、若いカップル、スーツをしっかりと着込んだ伯父さん三人、表にはひきもきらずラーメン好きの
客が並んでいる。
一風堂ならではの細い麺がうけているのは、ラーメンにエレガンスを感じているせいでもあろうか。白、赤、黒と三つのグループに分けられたメニューも理解しやすく、となりのカップルはこのあいだは白のなかから
塩とバイオ野菜のラーメンを食べたから、今日は辛い赤のメニューから選ぶわ、となかなかのうん蓄ぶりである。
サイド・メニューから餃子を選んだが、運ばれてきた餃子をみて驚いた。まるでママゴトの如き小ささだ。
突き出し代わりというか、ワインのおつまみにのつもりか、いずれにしても餃子はもうすこし大きくして欲しい。
中国人やベトナム人の経営するラーメン屋のまずさに比べれば、問題なく美味なのだが、余りの繁盛ぶりに
ゆっくりと食前酒を楽しむ雰囲気はないのだ。
いまパリでは、豆腐が話題をよび、弁当が珍しがられて、ベントー・ア・ゴーやらトーフ・レストランが
登場しているが、10年後にどれだけの店が残っているか、いかがわしいひとはた組はさっさと撤退してほしい。
サンジェルマンの「一風堂」
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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