サステナブルに浮かれる滅亡への道

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 ようやくコロナの終りが見えてきたと思ったら、今度は「サステナブル」が襲ってきた。
 曰く「AKB48サステナブル」発売記念、 曰く「サステナブル パッケージ・デザイン」 曰く「食のサステナブル AWARD」、よく判らないので中味を覗いてみたら、昆虫を食べよう等というとんでもない 提案がなされている。
 そもそも日本が世界のデジタル化に遅れをとつたのは何故か。アメリカに後れを取り、中国にも負けて、デジタル三流国になったのはひとえに前世紀末1990年前後から「地球環境」という題目に熱中し、国家の投資先を誤ったからにほかならない。日本が環境に投資している隙に、アメリカはシリコン・バレーを中心に世界を席巻するデジタル産業の育成に成功し、中国もまた着々とサイバー投資を重ね、世界第二位の強大なデジタル国家を作り上げた。
 いま再び日本はCO2ゼロとサステナブルに浮かされて、滅亡の道に突き進んでいる。
 弱体化しつつあるこの国の産業に活力を取り戻すには、ひとえに産業の米である電力料金を引き下げなければならない。
 原子力、水力、火力、風力、太陽光のバランスを勘案しながら、より安い電力を作らなければ、ますます産業の空洞化が進んでいく。世界一高い電気料金である限り、日本製鉄の高炉はとまり、金属精錬・加工、ソーダ、チタン製造など電力多消費産業は苦しみ、事業撤退、工場閉鎖がつづき、国内での起業は絶望的になる。CO2削減策で最大の被害をこうむるのは、大分、岡山、山口、和歌山、広島、愛媛、千葉、茨城等々。エネルギー多消費の製造業が地域を支えてきた、それらが音をたてて崩れていくのだ。
 日本のデーターセンターが中国にあったり、韓国にあるのは何故か? 電力料金が高いためなのだ。いまこの瞬間にも中国は着々と原発を作り、さらなる電力料金の値下げを狙っている。福島の汚染水にどうこう言う前に、電力料金をさげることが、ヒッキンの課題であることに気がつくべきだ。サステナブルなAKBに浮かれる前に、考えることがある。 


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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