ゲイの聖地・クリストファー

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 ニューヨークに幾度訪れても、絶対に近寄らなかった。僕自身ゲイではなかったし、エイズも怖かった。今度ばかりはと、ゲイの聖地クリストファーを訪ねた。
 目の前の小さな三角公園に等身大の見慣れた4人の像があった。ゲイは立って向かい合い、レズはベンチに座って語らっている。ジョージ・シーゲルによるゲイ・リベレーション…軽井沢のセゾン美術館にもあった。人間から直接石膏で形取りしたゲイとレズの象徴的作品は、このクリストファー・パークに置かれてこそ処をえたといえる。道をへだて、ビレッジ・シガーズというゲイ・アイコンのタバコ屋がある。この辺りから、ゲイバー、レズバーが連なり、ゲイポルノのアダルト・シヨップ、生皮のSMショツプ、タトゥ専門店、などが軒を連ねる。
 上を見ると、あちこちにゲイフラッグがはためいている。無智な日本のデザイナー森英恵(なんと文化勲章受章者)が、シドニー五輪の選手団に着せたマントーと全くおなじカラーの旗…世界中から失笑を買ったあのマントーはゲイフラツグそのものだった。
 毎年6月の最終週には、1969年6月28日にこの地で起きた数百人のゲイと警察の衝突(ストーン・ウォールの反乱)を記念してゲイ・プライド(正確にはゲイ・アンド・レズビアン・プライド・パレード)が開かれている。ゲイのお巡りさんも参加するこの運動は「合意の上の成人同性間の性行為を禁じた法、通称ソドミー法」を廃止に追いこんだ。5番街36丁目からクリストファー・ストリートに及ぶこのパレードは、20世紀のモラル革命のシンボル・アクティビティなのだろう。
 この近くイースト・ビレッジには、ゲイの高校として有名なハーヴェイミルク高等学校もある。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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