この三つに共通するキーワードは、いずれも未完成品だということ。未完成品は売らないというのが、ついこのあいだまでの商道徳だったが、いつのまにか未完成でも平気で売るというアンチ・モラルが当然の世の中になった。
アクセルとブレーキの踏み違えで、子供を撥ねたとか、通行人の列に突っ込んだとか、コンビニのガラスをわったとか、そんな事故は枚挙にいとまがない。メーカーはなにをしているのか。そんなに事故を起こす道具なら防止装置をつけるとかアクセルとブレーキを離すとか、なにか方法がありそうだが、知らん顔している。危ないものは売るな、というのが民のこえだ。
ご存知原発、福島第一と聞いただけで震えがくるし、怒りがこみ上げる。そもそも使ったあとの燃料棒の処理先も決まっていない、どうなるか判らないものを、未来のエネルギー、原子力は未来を開くと煽って次々と作った。巨大資本と政治が目先の利益に走ったとき、地球はとんでもないことになる、責任者はひそかに「日本の東半分は百年死んだ。」とつぶやいたという話を聞いて絶望的な気分になった。国民すべてを不幸にする未完成品が、原発なのだ。
毎日、パソコンを開くとがっかりする。ウィルスバスターが今日もバージョンアップ、アドベ・リーダーの最新版を利用できますよ、DVDプレイヤーが新しくなりました。とにかく毎日のようにソフト更新の通知がくる。頭のいい人たちが作っているいるのだから、もう少し安心シテ使えるものを売られたら如何、と言いたくなる。三、四年前にやつと整理してパソコンに取り込んだので、もう安心とたかをくくっていたら、バージョンが代わったので、読み取れません。とシレッと言う、そんな馬鹿なといっても相手にされない。常に進歩するから変わるんですと、デジタル人間はいうが、変わって欲しくないものもある。パソコンは未完成品の代表であり、その発想に歴史はない。まさにアメリカ資本主義そのものなのだ。
クルマ・原発・パソコン
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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