カラーの花は数十センチの茎を伸ばしていさぎいい。
迷いのない純白の花がスタイリッシュで高貴な空気をつくる。
ウェディングドレスの手にするブーケも、幾本かのカラーのなにげなく束ねたのが大好きだ。
そのカラーの花をどつさりと抱えてお祝いにきてくださった。 今、話題の「マリリン・モンローという生き方」の著者山口路子さんだ。 スリムな過不足のないプロポーションをもち、作家としてはやや美人すぎる。もうすこしブスのほうが、人間味を感じるのだが、ファツションの趣味もなかなかのこだわりで、いつもシツクに黒を着こなしている。「ココ・シャネルという生き方」を書いたというのもうなずける。
ギャラリー文尚、人間国宝中川清司展のオープニング・パーティでの出来事。お祝いはなにをしたら、と山口さんから電話をいただき、ならば中川先生に手渡せる小さな花を、とお願いしたところ、立派なカラーの花束を抱えてきてくださった。パーティまでに少々の時間があったので、とりあえず花は裏でお預かりします、ということで、中川先生のご挨拶のあと、山口さんからお手渡し下さい、人間国宝も喜ばれるでしょう、という段取りにした。
さて、カラーの出番がきた。裏に花束をと声をかけた時、「ギャー大変」という声がどこからか出た。あまりに綺麗だったのでイケちゃいました、イケてしまった犯人はおおきなガラスの花入れに入った見事なカラーの花を抱えて現れた。ごめんなさい、どうしましょう、どっと席がわいたので助かったが、イケられたカラーの花は作家と人間国宝のあいだを右往左往して役目を果たした。
カラーの花束
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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