2023年大晦日、今年はエンタメ業界においてのメディアの信用が見事に失墜した年であった。
永年、テレビを始めとするラジオ、出版、新聞がお互いを忖度しながら、自己利益に走っていた現実がアラワニなった年でもあった。
悪いことと判っているけど止められない、止められなかった、それに触れずに自己利益を優先していたメディア業界の内側が天下に見事にさらされた。昔なら経営者も現場責任者も総退場というところだが、いまどきのイイカゲンな業界はお互いの傷口をなめあって、少しばかりの反省と
お詫びでスルーしようとしている。道徳観、モラルの退廃は政界から始まり、財界に蔓延し、メディア業界までとどまるところをしらない。
日本の芸能界には、かなり前から三大聖域と言われるものが存在していた。
一に「歌舞伎」、二に「宝塚」、三に「ジャニーズ」である。
それぞれに矛盾と不条理と権益をかかえたこの国ならではの団体であり、組織だった。
諸外国からみれば、なんとも不思議にして、理解しがたい組織であり、興行形態なのだが、日本人の多くはそこに想いを致さず受け入れてきた。
歌舞伎は期待された猿之助の自殺と男色をきっかけにかなりの部分が露わになったが、歴史的な男性によるジエンダーを超えた表現技術と、世襲制度の維持が最優先となり、議論は深まらなかった。
宝塚歌劇は、ひとりの生徒の自殺がきっかけとなり、女性社会ならではの熾烈な競争と上下関係の不実が暴かれたが、経営元の利益第一主義から生まれた興行形態への変革にはいたらないままに終息するような気がする。
ジャニーズの性犯罪とテレビ業界の癒着は、英国BBCの暴露によって前進した。週刊誌の告発や、最高裁による判決すら蹴飛ばし、見事に権勢をふるってきたジャニー、メリー姉弟のタッグは、日本人の底辺にひそむアメリカ信仰を利用し、無知なにほんの社会を騙す悪知恵に充ちていた。 ここでは文化芸能にたいするこの国の後進性について考えなければならない。
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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