「痛てててっ! 痛てってば! 痛てててっ…痛いててててっ! 痛ってばよ、先生! ああぁっ! 痛てっ! ホントに痛てってばよ、先生!」 姿はみえないが、カーテン越しの隣の患者はかなりの高齢者、羞恥心などとっくに忘れてしまった元女性、発している声にはオヤジも真っ青になるほどの迫力がある。
たまにはこんな声も聞こえてくる。微かにきこえてくるピアニッシモ。
「イタ…アッ…ィッ、ィッ、イイ… …イタ…ィタイワ…センセイ…ダイジョウブ…ァッ、ィタィ…」
イケメンの先生はかなり親切に正しく診療しているようだが、眼をつぶってじつと聞いていると、カーテンの向うからの音声はかなり妖しい。帰りしな会計ででくわすと、充分に脂肪のまわったアラサーだったりする。
もう三十年以上世話になっている中軽井沢駅前の大窪鍼灸院での出来事だ。六本木にいたときは、渋谷道玄坂にある針灸に世話になっていたが、そこの先生は芸能人が大好きで、今日はスタジオです、とか、マルマル劇場の楽屋です、というのが多くまま困ったことがある。
軽井沢に移り住んでからは、撮影の後、本番のあと、パソコン疲労のときは、まずエキマエの先生のところに駆け込む。慣れない庭仕事でギックリ腰になってしまったときも、三回も通うと完治する。
吸引カップ、低周波、針、灸、赤外線、レーザーとあらゆる技術で治療してくれる。おかげさまで今まで
イノチを拝受している。
エキマエの名医
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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