ウソ・うそ・嘘

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 「嘘をついたら閻魔さまに舌を抜かれる」子供のころの教えで親からも年寄りからもしっかりとたたきこまれた。幸いにいまでも舌はついているので、閻魔さまにばれずにここまで生きてこられた。
 20年ほど前、作家川口松太郎の息子、川口浩を隊長にして世界の不思議を探検して歩くというテレビ番組があった。もう忘れてしまったが、どこか外国でシャレコウベを調達し、その映像で話の辻褄をあわせたことがばれ、ウソだ、ヤラセだと、世間の非難をあびて番組がつぶれたことがあった。
 「大きなウソをつける人は政治家におなりなさい」という皮肉もあったが、この国は嘘だらけ、ウソをついてもなんら責任を感じない三流国に成り下がってしまった。
 「流通しているものは安全ですから、心配しないでたべてください」一流大学をでた内閣官房長官が尤もらしく見栄をきったのは、ついこの間だったが、全部嘘だった、口先だけの無責任な発言とばれてしまった。東北六県から出荷された牛は、放射能藁をたべ、その大部分が内部被爆をうけて、食べてはいけない事実が発覚した。官房長官も農水大臣も表にはでず、牛肉はほとんどの日本人の胃袋に入ってしまいすべては手遅れ。
 京都には三嶋亭という名門のすきやきやらステーキを食べさせる由緒正しい肉料理屋があるのだが、この三嶋亭の肉からもセシウムが検出されたというので、もはや京都人は肉はあきまへん、そのうち豚も鴨もみんなアカンのと違いますか、と絶望的な気分になっている。
 世慣れた女の子に、バスト、ウェスト、ヒップ、ウソ などといって顰蹙をかっていたが、「ウソと判っているウソ」をつきつづける恋人への切ない愛の「永遠の嘘をついてくれ」が懐かしい。
 電力不足のウソ、恐怖の放射能の嘘、脱原発の大嘘、菅直人のウソ800、マニフェストの嘘に始まっていつの間にか、ウソ不感症大国になってしまったのが悲しい。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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