フジテレビ50周年記念映画として製作された「アマルフィ・女神の報酬」が波紋を呼んでいる。日本シナリオ作家協会が、ポスターや作品に脚本の名前がないのはけしからん、と抗議声明を発した。大体テレビ局というのは演出、脚本に対する認識が浅い。主演スターの名前さえ大きく出ればそれでよしとする無知が横行している。作品の良し悪しを決めるのは、まず第一に脚本であり、第二に演出・監督であるという作劇術の基本がない。スポンサーや代理店の喜ぶスターがいれば、それでよしとする風潮がある。それ故スターの名前だけが目立つ宣材が、出来上がってしまう。RTFなどヨーロッパのテレビ局はロビーにずらりと掲出されているのは、演出であり、プロデューサーのプロフィールである。脚本に時間をかけ作品を練り上げていく丁寧さは望むべくもなく、大量の宣伝に頼って観客が動員できれば、すべて良しとする利益追求主義が支配する。文化としての映像づくり、芸術としての映画はどんどん遠ざかり、殺人シーンを必須としたミステリーや、CGや漫画にかたよった簡易娯楽材が拡大再生産されるという薄痴社会に限りなく近ずいていく。
プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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