「アゴが疲れない。」というのが、Qワードになっている。それほど日本の若者たちのアゴ力は退化しているのだろう。近頃はエラのはった精悍な男をまったくといっていいほど見なくなった。テレビやグラビアに登場する男性はほとんどエラのない小顔のイケメンばかり。固いものを噛んだことのない公卿風の顔つきなのだ。一昔前までは、生活力のない頼りなさの象徴だつた。そんなアゴ弱の世代を標的にした新商品が当たっている。
ロッテが売り出した「フィッツFits」、フニャンフニャンした噛みごたえ、硬さは従来のガムの三分の一、それ故まったくアゴは疲れない。三週間で2000万個を売ったという凄さ。少し前に大流行した花畑農場の生キャラメルもスーパーの店頭にならぶ「カバヤの生キャラメル」もやはり食感の基本はフニャフニャでアゴは限りなく疲れない。テレビの画面で若い食のレポーターの第一声もあらかた「ヤワラカーイ」である。味のなかにこうした価値観がはいってくるのはひどく不愉快だが、時代はどんどんアゴのつかれない情けなさに流れている。
アゴが疲れない。
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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