まぐろに広告代理店

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 1月5日 築地市場の初競りでとんでもないことが起きた。
 大間のまぐろ一匹 222㎏に、1億5540万円の値段がついた。
 もはやまぐろではない。家が一軒建つではないか。というのが人々のこえ。
 競り落とした「すしざんまい」の社長木村清さんは活き揚々としているが、すしのまぐろとして、通用する値段ではなく、宣伝広告費として競り落としたといっている。つまりまぐろに広告代理店が乗ったのだ。宣伝になるものならなんでも、というのが代理店の本質だが、宣伝競争もここまでくるとなにおかいわんや。
 すしざんまいでは、計算すると一貫5,6万円になるところを、大トロ一貫398円で提供するが、話題目的で充分もとは取れたと言っている。早朝から市場に通ってセリに参加している真面目な仲買人たちは、がっくりと肩を落としている。
 すしざんまいを経営する喜代村は、2001年に一号店を出して以来急速に伸びた会社だが、喜よ寿司・すしざんまい・廻るすしざんまい・すしざんまい得得・まぐろざんまい・喜代村フィッシュマーケットと多角的に展開しているマルチカンパニーでもある。
 近年魚市場の価格体系がおかしくなったといわれているが、こうした費用対効果一辺倒の会社が増えることによって、ますますまともな市場原理が働かなくなっていくのだろう。
 いまあちこちで、マグロの解体ショウが開かれているが、これなども双日という商社と代理店の仕込んだ記念イベントだし、大売出し用にまぐろが利用されているのだ。
 世界の海から日本の船が閉め出されようとしているとき、こんなことをしていていいのだろうか。


コメント

1件のフィードバック

  1. 食べ物をおもちゃにすれば、必ず報いを受けますね!
    TV局にしても、きっと、すしざんまいが不祥事を起こすとの確信のもと、ニュースをストックしているだと思います。
    斬新なアイディアで、昇って来た会社は、ピーク間近に経営を後継者にまかせ、新たな産業にチャレンジするのが、得策と最近思うようになりました。

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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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