褒めて伸ばす。褒めて育てる。褒めて使う。褒めるという行為がこんなに世の中に跋扈するとは思わなかった。
私いままで怒られた経験はありません、成人女子が当たり前のように発言する状況に、何度戸惑ったことか。
ビンタをするから歯を喰いしばれ、と言われた戦時下の教育はともかく、劇団の大根役者でも、SKDの生徒でも、ときに怒ること爆弾を落とすことで、きっちりと舞台がまとまった経験は数しれない。スポーツにしてもある程度の緊張感を持たせる為、闘争心をかきたてて勝利に導くためには、時に怒ることも必要な演出テクニックである。
褒めて育てるという状況には、どうしても甘やかすという側面がある。今日ただいまの様にゆるい社会ではそれも結構だが、世界に存在するカーストの荒波を生きて行く為、厳しく躾けるという生活指導も必要ではないだろうか。
「日本ほめる達人協会」があるということを最近知った。
ほめるスピリットを共有しよう、というスローガンの元に、ほめ達アカデミーを運営し、若者たちがよろこんで通っているときいては、内心忸怩たるものがある。
ほめ達の魔法、ほめ達の仕組み、ホメトークなどいろいろのほめ方を習って、社会の荒波はホメテ乗り越えようという、なんともお気楽な新型能力開発セミナーである。
ほめ達アカデミーLIVE、ほめ達WEB授業、ほめ達寺子屋といろいろの段階があり、年にいちどはほめ達学園祭もあるらしい。
ほめる前になにかやることがあるように思うが、とりあえずほめ達アカデミーに月謝を払って、上から目線のほめ達になるのもよかろう。ほめて人生が送れるならこんなに楽なことはない。ほめ殺しなどという高級なテクニックは教えてくれないかもしれない。
ほめて生かすか、ほめて殺すか
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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