最近、折あって三人の主任研究員なる人物の講演を聞いた。
いずれも名だたる研究所のメンバーで、政府機関やら、経済団体、地方自治体のコンサルタントなどを歴任している。日本総研、三菱総研、野村総研のエースたちだ。
驚いたのは、その講演スタイルが全く同じだったこと。演題はそれぞれなのに、プレゼンテーションの組み立て方に個性がない。金太郎飴なのだ。
まず内閣統計局つくるところのデーターを提示する。見れば分かるデーターを分析する。
そしてデーターで脅かす。データーで責める。 とにかくデーター、ひたすらデーターなのだ。
アメリカ空軍の戦闘体制から生まれた統計学、その統計学の鬼っ子であるデーターは、いま日本中にとっ散らかっている。
新聞では、政治をデーターで語っている。いじめも、データーで語る。経済はすべてを数値価して、安心立命のデーター主義者の数字村なのだ。無駄をはぶいて利益率を上げる。一見合理的のように見えるが、顧客の心のうちは読めない。
データーの最大の欠点は、量的な表現はできるが、質的な表現はまったくできないということだ。
その欠陥はテレビに於いて十二分に発揮されている。視聴率競争に奔走するテレビ番組の馬鹿馬鹿しさ、堕落ぶりは、誰もが承知している。データーの果てに、一日中殺人、一日中お笑い、一日中通販では、データーで自分の首を絞めているとしか思えない。
データーが必要なのは、データーがないと相手を説得できないときだけ、というドラツガーの至言がある。
とにかくデーター、ひたすらデーター
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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